「ワードクロック端子を接続する場合の注意点」

 

端子について

ワードクロック端子にはBNCコネクタが多く採用されています。BNCコネクタは高周波伝送に適し、

精度の高いクロックの伝送が可能です。また、ロック機構により確実に結線できます。

端子間の接続にはインピーダンス75Ωのケーブルを使用します。

   

   <ワードクロック端子の例>      <ケーブルの例>

 

●端子の呼称と役割

実際のワードクロック端子は製品パネル上で様々に表記されています。

(WORD CLOCK、SYNC、WORD SYNC、SYNC CLOCKなど)タイムコードやビデオの同期端子と

似た名称もありますので、機器の取り扱い説明書などで端子の役割を確認しておきましょう。

ワードクロックの端子は役割によって3種類に分類されます。

 

・IN: ワードクロックを入力する端子です。その機器をワードクロックのスレーブにしたいときに

    使用します。機器によっては、このIN端子を接続しワードクロック信号を入力するだけで

    自動的にワードクロックのスレーブに設定されるものがありますので注意が必要です。

    ターミネーション・スイッチ(75Ωと記載されている事もあります)が実装されている機器も

    あります。

・OUT:ワードクロックを出力する端子です。機器が内部クロック(INTERNAL)を基準に動作して

   いる時はその機器が生成したクロックが出力されます。機器が外部のワードクロックや

    デジタル入力、タイムコードを基準に動作している時は、その基準をもとに機器内で再生成

    されたクロックが出力されます。

・THURU:INに入力されたものがバッファーアンプを経由して出力されています。このバッファー

   アンプにはワードクロックの波形を整形し、出力レベルを安定させる働きがあります。

 

以上は代表的な例であり、すべての機器にあてはまるものではありません。詳しくはそれぞれの

機器の取扱説明書で確認しましょう。

 

●ターミネーションの重要性

ワードクロック信号は高周波成分を含みます。このような信号の伝送する場合、ケーブルの両端

による信号反射を防ぐために「ターミネーション」という処理が必要です。

ターミネーションが正しく行われていないとワードクロック信号の波形が乱れ、音質劣化やノイズの

原因になります。

      <ターミネーションの基本>

       

<正しくターミネートされたときの波形例><ターミネートされていないときの波形例>

 

●ターミネーションの方法

・機器にターミネーション・スイッチ(75Ωと記載されている事もあります)がある場合。

→  ONにするとターミネートされます。操作画面で設定する機器もありま

        すので、取扱説明書で確認しましょう。

・機器にターミネーション・スイッチがない場合。

→  ターミネーターとTコネクタ(またはFコネクタ)を使用してターミネ―ト

        します。端子にムリな力がかからないように注意しましょう。

 

  

    <ターミネーター>          <Tコネクタ、Fコネクタ>

  

<Tコネクタを使ったターミネーション> <Fコネクタを使ったターミネーション>

 

・IN端子が既にターミネートされている場合。

→  IN端子が初期状態からターミネートされている機器があります。

        この場合、ターミネートする必要はありません。ターミネートされて

        いるかは外見での判断が困難ですので、各機器の取扱説明書で

        ご確認ください。

        # 判別できなかった場合は、ターミネーションするほうが安全です。

 

●複数の機器でワードクロック端子で同期する場合

以下に複数の機器を接続する場合の代表例を紹介します。

 

 ・1台をマスターに、他をスレーブにする場合

TコネクタもしくはFコネクタを使用して分岐し、接続します。終端の機器はターミネート

します。各ケーブルをできるだけ短くする事で精度の高い同期を実現します。

  

<スレーブ機器側の分岐方法 1>   <スレーブ機器側の分岐方法 2>

 

 ・ワードクロック・ジェネレーターを使用する場合

ワードクロック・ジェネレーターからダイレクトに各機器に接続します。

スレーブとなる機器はそれぞれにターミネートします。各ケーブルをできるだけ短く、

また同じ長さにする事で精度の高い同期を実現します。

 

 ・ワードクロックの分配器を使用する場合

マスターのワードクロックを分配器で複数に分岐して使用する例です。

スレーブとなる機器はそれぞれにターミネートします。各ケーブルをできるだけ短く、

また同じ長さにする事で精度の高い同期を実現します。

(以上)_