ごあいさつ

平成21年5月
社団法人 音楽電子事業協会
会長  岡部 比呂男
 電子楽器がデジタル化された時代の要請のなかで、1982年に楽器用途として誕生したMIDIは、その後、通信技術の急速な発展を背景に、時代の要求するマルチメディアアプリケーションとそれを支える通信インフラの要求に応えてきました。
 通信カラオケや携帯電話の着信メロディ配信サービスで使われているMIDI規格の今日の隆盛は、MIDI規格の持つ音楽表現の柔軟性とデータ表現のコンパクトさ(経済性)、という強みが十二分に発揮されて使われた結果であると思います。

 MIDIの今後の役割を考える上で、昨今のネットワーク関連事業の急速な発展は、考慮するに欠かせない時代背景と思われます。ブロードバンド時代に入り、家電や楽器が家庭内でもLANで結ばれ、大容量のオーディオデータや、映像データ、機器のコントロールデータ、メールのデータ等が組み合わされてダウンロードされ、またネットワーク上を行き交う状態が既に始まりつつあります。この様なネットワーク時代における社団法人音楽電子事業協会の役割は2つあると考えています。

 一つは変化するネットワーク環境の中でのMIDI規格と役割の確認、見直しと再定義が不可欠となっています。ブロードバンド技術はエンタテインメントにおける必要マルチメディアデータの、通信における量的経済性の制約を急速に取り除いて行きます。PCM、映像ファイル等の大容量データが、音楽と同期して一つの複合データとして扱われます。MIDIは従来のイベント扱いとしての音源を演奏するという目的から、複合データをまとめ、音楽を軸として全体を同期管理する統合機能としての有効性を高めてく必要があると思われます。そのため、使えるMIDI規格の機能の拡充とその標準化、新しいイベント処理応用への取り組み、それに基づくMIDI思想の普及の努力に、今後力を注いでいく必要があると考えます。

 二つ目は、関連する音楽著作権処理事業の支援も不可欠です。携帯電話などにおけるMIDIの応用にみられるように、コンテンツは音や音楽が多様なデータと多様なアプリケーションに織り込まれて一つのエンタテイメントデータを構成していきます。この中での、少なくともこの中で使われる音楽データの認識と、それに基づく適正な音楽著作権運用への交通整理はますます重要な活動の一つとなると考えます。

 新しいネットトレンドの中で、日本で大きく育ったMIDI規格が、ますます世界のマルチメディア事業に不可欠になっていき、社団法人音楽電子事業協会の存在価値が再認識され、関連産業の発展につながるよう全力で取り組んでまいる所存です。

  • 『MIDI』はJIS規格(JIS X 6054-1, 2)に制定されています。
    『MIDI』は社団法人音楽電子事業協会 (AMEI) の登録商標です。
    『MIDI』 関連のロゴおよびID番号の使用にあたっては、当協会の会員であることが必須です。
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