NAMM2000(INTERNATIONAL MUSIC MARKET)
レポート
JSPA 大浜和史
世界最大の楽器トレードショーであるNAMMショーが、2月3日よりロサンゼルス
コンベンションセンターで開催されました。幕張メッセを上回る巨大な会場に1000を
越す出展社。今年のNAMMはミレニアムとアメリカの好景気を象徴するかのように、
連日多くの来場者でにぎわっていました。ダウンタウンの各ホテルから会場まではシャ
トルバスが送迎する、町を上げてお祭り気分です。シンボルタワーにはNAMMの文字
が大きくかかげられていました。
エントランスにはミュージアムのコーナーがあり、歴代のシンセサイザーが展示され
ていました。それらはモノフォニック、ポリフォニック、モジュラーなどグループにまとめられ、中には
初期型PPG、Mini Moogプロトタイプ゚など珍しいモデルもありました。
会場では左にローランド、右にヤマハ、階上にコルグ、そして中央の巨大な会場には 数百のブースが並びます。ソフト各社ではオーディオの編集機能説明が目立つ反面、
シンセサイザーはアナログ的メカニックなツマミ系を良く見かけるのが印象的でした。
会場ではパームトップ(手のひらサイズ)のシーケンサーやローランドのバリフレーズ
など新しいモデルと、ヤマハのファイヤーワイヤーの展示が話題となっていました。
出展は楽器以外にも音響、照明も含む様々なメーカーがあり、これらを一同に見る事が
出来るのもNAMMならではです。又それぞれのブースでは熱心にデモをしているにも
関わらず、会場内は普通に話しが出来る環境である事に関心しました。
会場は大きく2つのエリヤに分かれており、通路で結ばれたもう一つのメイン会場には、
ギターを中心とした数百のブースが並んでいます。ギターメーカーの多さには圧倒され
ますが、そこから聞こえるカントリーやブルースにはなぜかホットさせられます。
全てのブースを見終わると2日目の夕方になっていました。トレードショーは今年の
取引を決めるビジネスの場であり、明るい雰囲気の中にも仕事の厳しさが漂っていました。
NAMM開催中には多くのミュージシャンが集まり、会場外でも様々なライブが行われ
ます。中でも話題となったのは、ヤマハ主催のマイケル
マクドナルド コンサートでした。 ゲストもケニーロギンス、レイチャールスと多彩で、バックもスティーブガットなど大物
揃いのナミダモノ。最後にはドゥービーブラザースの全員が揃い、名曲を惜しみなく披露
し、6000名の観客は沸きに沸き、アメリカンロックを堪能しました。
今回のツアーのもう一つの目的は、MMA(MIDI
MANUFACTURERS ASSOCIATION)と AMEIの会議への出席がありました。NAMM開期中に行われるこの会議は、1982年に
MIDIの基本仕様の合意でMIDIが誕生したように、毎年この席上でGM,SMF,GM2などの
規格が協議決定される場所であり、MIDIの聖地でもあります。
今回も1394,USBなど多くの検討課題がある中、新たにAMEIからはWatermark(電子透
かし)とMIDI Ring(着信メロディー)、MMAからはNew
MIDI Fill formatの提案があり ました。多くの検討課題と共に、今後の技術レベルの協議へと合意されています。
席上の熱気からコンピュータに関わる音楽に、MIDIが核となっている事を実感しました。
編集後記
アメリカでは携帯電話をセルラフォーンと呼びます。着信メロディーはミュージカル
セルラフォーンといったところ。アメリカの学生には携帯電話は普及していない反面、
高校生以上の多くがパソコンを持ち、インターネットでメールを活用しており、メール
でのチャットが学生時代の長電話に変わっている様子。
ロサンゼルスは警察官が増えたとかで、数年前とは違い治安も良く町はきれいでした。
ダウンタウンは交通の便も良く、帰りは空港へ直行のフリーウェー(映画SPEEDの頃は
まだ開通してなくバスが飛ぶシーンの所)で快適に帰路につきました。
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